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「ピアノの音が温かい」ってなに?

  • コラム
(これは過去の自作HP「リゴドンの音楽畑」の記事です)
「温かい音」の前にまず,「とは」について
「音」とは「人の耳で感じることが出来る1秒間に約20~20000回の空気の振動」
のこと。この振動は空気や物質中を“波”のように伝わる。※注…振動が多すぎたり少なすぎたりすると人の耳に“音”として聞くことが出来ない。
特に振動が多すぎて聞こえない“音”を超音波という。
※参考…音は15℃の空気中を1秒間に340メートル進む,固体,液体,気体の順で
伝わり方が速い。
次に,音の3要素
① 高低=振動数(弦が1秒間に振れる回数)が多いか少ないかってこと。
② 強弱=振幅(振れ幅)によって決まるってこと。
③ 音色=音の特徴。どのような倍音(基本となる振動数の整数倍の振動数を持つ音)
をどんな割合で含むかによって、違ってくる音の感じ。さて,ピアノという楽器について考えてみると・・・
①については,鍵盤を打つ(押す)だけでいい簡単な楽器。
②については,打つ(押す)力(スピード)をコントロールして差をつける。
③はピアノという楽器の音。

ん?“あたたかい”などという音は奏法によって違ってくるものだから,

②と③の絶妙なバランスってこと?

②と③をうまくコントロールすればいいんだぁ。

ふ~ん…簡単に言うけど,コレが難しいんだ。

聴き分ける耳がないといけないだろうし,判断する脳ミソが活動してなきゃいけないし,鍵盤を打つ(押す)指→手→腕→上半身の筋肉が指令通りに動かなきゃならない。ついでにペダリング(足)もかなり大事。(頭いたっ!)

結局…
♪聴き分ける耳=とにかく音楽を聴くことかなぁ。ピアノ曲だけじゃなくて。
♪判断する脳ミソ=訓練かなぁ?

料理する場合,食材,調味料を手に入れて,下ごしらえする。それから,つけ込んだり,寝かせたり,火にかけたりしていくんだけど,調味料を加えるタイミングと量って,仕上がりにとっても影響するんだよね。
これ,曲を仕上げていく過程と類似すると思っています。食材(楽譜),調味料 (CD・コンサートでのプロの演奏),下ごしらえ(アナリーゼ),煮込み(弾き込み)。調理中,常に働いている目と舌(聴く聴いてもらう)。

♪鍵盤を打つ(押す)=ピアノの鍵盤&ハンマー&アクションなんかは,それぞれ力点,作用点,支点(アクションそのものじゃないよ)の“てこ”だから,②と③の絶妙なバランスを作るのは、単純にハンマーの打弦速度をコントロールすればいいんじゃない。ハンマーのスピードが速ければ音は強いし,遅ければ音は弱くなる。
フレーズの中で,和音の中で,それぞれの音に対してそのスピードを微妙に変化させていけばいいってこと。言ってしまえば簡単そうだけど,ピアノ曲の場合はコントロールして打つハンマーが1つではないからたいへんなんだろうね。ポジションや5本の指のそれぞれの長さや手の向きによって伝わるエネルギーが変わるから,これまた面倒(はっ!いけない。面倒だなんて)。

♪ペダリング=ペダルを踏むタイミング・踏み方,深さ,上げるタイミング・上げ方。

でも,あーだこーだ言ったって,結局“感覚”なんだって。耳も脳ミソも筋肉も…。

そもそも音自体に,温かい音,冷たい音,固い音,乾いた音,湿った音,明るい和音なのに暗い音といったものは,ないと思っています。
音が温かいというのは,,※音の形たちの連続がギザギザしてないってことなんじゃないかなぁ。だぶん。

ピアノはポンポン弾くと,※減衰楽器だから並べた音の形はノコギリの刃のようになる。

そのような音たちの形が連続した演奏に,“温かい”は当てはまらないと思います。
場合によって,温かい音楽の奏法というのは色々と違ってくるのだろうけど,弦を打つハンマーがいつも同じスピードであったり,ハンマーの始動地点がいつも同じでは,温かい音にはなり得ないのではないかな。

温かい音に限らず,ピアノ演奏は鍵盤の沈み,わずか1cmをどう扱うかってことなんでしょうね。

※音の形=ピアノの音の波形をオシロスコープで見てみると,打鍵した直後に最大の振幅を示し,
それ以降は時間がたつにつれて振幅が小さくなっていきます。その様子を形にした物)

※減衰楽器=ピアノの特徴として,打弦した後の音の大きさは,小さくなってやがては消えてしまい
ます。 減衰に関して詳しく言えば,ピアノの音については2つの段階を経て小さくなっ
ていきます。これを“2段減衰”と言います。

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